少し強い言い方かもしれません。でも、私は本気でそう思っています。
生成AIの普及によって、誰でも短時間で専門知識やノウハウにアクセスできる時代になりました。

料理のレシピも、デザインの考え方も、経営の知識も、マーケティングの方法も、昔なら専門家に聞かなければ分からなかったことが、今ではAIに聞けばかなりのところまで答えてくれます。

これは、とても便利な時代です。

その一方で、知識だけを見れば“それらしく見える人”、いわば「なんちゃって専門家」も増えていくと思います。

AIを使えば、専門用語も使える。
もっともらしい分析もできる。
提案書も作れる。
レシピも作れる。
デザイン案も出せる。

つまり、ある程度までは誰でも「専門家っぽく」見せることができる時代になったということです。だからこそ、これからのプロや専門家は、これまで以上に厳しく問われるようになると思っています。

例えば料理。

なんちゃって専門家は、これから淘汰される。

AIを使えば、有名店や専門店に近いレシピを考えることはできます。
なんちゃって料理人でも、ある程度おいしいものを作れるようになるでしょう。

しかし、本当の料理人はそこでは終わりません。

食材の状態を見る。
火入れを微妙に変える。
湿度や温度に合わせる。
味を一口で判断する。
何百回、何千回作っても品質を揃える。

こうしたものは、単なる「知識」ではありません。
長年の経験によって身についた判断力です。

病院とドラッグストアの違いにも似ています。

なんちゃって専門家は、これから淘汰される。

同じ「体調を良くしたい」という目的でも、ドラッグストアでは自分で症状を判断して薬を選びます。一方、専門知識を持った医師がいる病院では、状態を診断し、原因を見つけ、その人に合った治療を考えます。

薬そのものだけが価値ではありません。

「何が問題なのか」
「何を選ぶべきなのか」
「何をしてはいけないのか」

そこを判断してくれることに価値があります。

AIも同じです。

なんちゃって専門家は、これから淘汰される。

AIそのものは、これからさらに高性能になります。

しかし、

「この場合は違う」
「この会社ではこの方法は使えない」
「数字上は正しいが、現場では失敗する」
「この地域なら、こちらを選ぶべきだ」

こうした判断は、経験や専門性がなければ簡単にはできません。だから私は、AI時代に一番厳しくなるのは「素人」ではないと思っています。むしろ厳しくなるのは、「肩書きはプロだけれど、経験や専門性が浅い人」です。

これまでは、一般の人との知識差そのものが価値になっていました。でもAIによって、その知識差はどんどん縮まっていきます。一般の人でもAIを使えば、かなり高いレベルまで来る。そうなると、平均点のプロにお金を払う意味は薄れていきます。だからプロは、単に95点、100点を目指せばいいという話でもありません。もっと重要なのは、「その人にしか出せない答え」を持つことです。

デザイナーなら、「この問題の捉え方は、この人にしかできない」。

なんちゃって専門家は、これから淘汰される。

料理人なら、「この味は、この人にしか出せない」。

専門家なら、「この判断は、この人だからできる」。

そして最終的には、「この仕事なら、あの人に頼みたい」ではなく、「この仕事は、あの人じゃないと意味がない」と思われるところまで、自分の専門性を極端に特化させていく必要があるのだと思います。

この話は、飲食店にもそのまま当てはまります。

なんちゃって専門家は、これから淘汰される。

スーパーで食材を買って家で作れば、外食より安い。それでも人は外食をします。なぜなら、飲食店で買っているものは、単なる「食材」ではないからです。

調理の技術。
自分では作れない料理。
店の雰囲気。
接客。
家族や友人との時間。
料理人との出会い。
その店だから味わえる体験。

つまり、「食+時間+技術+サービス+空間+体験」を買っています。だから、家で食べることと外食を、価格だけで比較することは本来できません。逆に言えば、価格だけで比較されてしまう飲食店は、「なぜその店で食べるのか」という理由を十分につくれていない可能性があります。

AIも同じです。

AIで代替できる仕事であれば、当然価格競争になります。AIで代替できない価値があるからこそ、そこにプロの存在理由が生まれます。これからの時代、プロという肩書きだけでは守ってくれません。

資格がある。
経験年数が長い。
昔からやっている。

それだけでは足りない。これまで積み重ねてきた知識や経験を、どう判断に変え、どう結果につなげるのか。そして、その価値をどう見える形にするのか。そこまで含めてプロだと思います。

私は、プロや専門家をこう定義しています。生成AIの普及によって、誰でも短時間で専門知識やノウハウにアクセスできる時代になりました。その結果、知識だけを見れば“それらしく見える人”、いわば「なんちゃって専門家」も増えています。だからこれからのプロは、単に知識があるだけでは足りません。

プロとは、長年の経験と専門性によって、素人には見えない違いを見抜き、その場に応じて正しく判断し、結果を出せる人。そして、その判断と結果に責任を持てる人です。

AIによって知識の差が縮まる時代だからこそ、最後に問われるのは、

「プロとは、知識だけを売る人ではなく、知識と経験、判断、そして結果で選ばれる人。」

だと思います。

なんちゃって専門家は、これから淘汰される。

AIによってプロが必要なくなるのではありません。むしろ逆です。AIが普及すればするほど、「本物のプロとは何か」が、これまで以上にはっきり問われる時代になる。そして結局、最後に残るのは、「なぜ、この人なのか」という、選ばれる理由なのだと思います。