映画『マトリックス』。何年ぶりだろう……ふと、また観たくなった。きっかけは、あの少年のセリフだ。
映画『マトリックス』を久しぶりに観て、改めて気づいたことがある。
僕が求めていた“気づき”は、1作目にすべて詰まっていたということだ。
2作目以降には、残念ながらその“核心”は感じられなかった。
では、1作目に何があったのか。
結論から言うと、
「現実は、見えているものではなく“認識”がつくっている」
という一点に尽きる。
例の、少年のセリフがすべてを象徴している。
「スプーンを曲げようとしちゃダメ。そんなのは無理。
そのかわりに、真実を見ようとすればいいんだ。」「スプーンなんてないんだ。」
「曲げるのはスプーンじゃない。自分自身なんだ。」
この言葉を、昔は“映画の中の哲学っぽいセリフ”としか捉えられなかった。
でも今なら、経営にも人生にもそのまま通じる“思考の原理”だとわかる。
思い通りにならない現実というのは、外側の問題ではなく、
自分の認識の“枠”が固まってしまっているだけ。
世界を曲げようとすると、当然ぶつかる。
でも、自分の認識を更新すると、現実の方が静かに変わり始める。
ネオが覚醒していく過程も、まさに同じ。
敵が弱くなったわけではない。
世界が急に変わったわけでもない。
ただ、ネオの“認識の次元”が変わっただけだ。


だから弾丸を避けられるようになったし、
最後には弾丸そのものを止められるようになる。
あれは「強くなった」という描写ではなく、
“現実の見え方が変わった”という描写なんだと、今になって気づく。
これこそBOSS思考の核心だ。
・スタッフが動かない
・仕組みが機能しない
・思い通りに進まない
・人間関係が噛み合わない
これらの多くは、現実の問題ではない。
“自分の認識の窓”が曇っているだけだ。
認識が変わると、視点が変わる。
視点が変わると、判断が変わる。
判断が変わると、行動が変わる。
行動が変わると、結果が変わる。
すべては、内側から外側へ伝播する。
だから、曲げるべきはスプーンではなく、自分自身だ。
2作目以降は、物語が“世界全体”へ広がりすぎて、
この1作目の“個の覚醒”というシンプルで深いテーマが薄れてしまった。
僕が求めているのは、壮大な戦争ではなく、
ネオが気づいた“認識の転換”のほうだったのだろう。

1作目には、それがある。
そして、それだけで十分だった。
“世界は変わらない。でも、世界の見え方は変えられる。”
ネオが示したこの原理は、今の僕にとって大きなヒントになった。
映画の中のセリフに過ぎないと思っていた言葉が、
今の自分にこれほど響くとは思わなかった。
年齢を重ねるほど、
同じ作品を観ても“見えてくる部分”が変わる。
きっと今日の気づきも、
またどこかで新しい形に姿を変えるのだろう。
マトリックス――久しぶりに観る価値がある一本だった。
結局、現実を変える方法はひとつしかない。
“自分の認識”を更新することだ。
ネオが覚醒したように、
僕たちの世界も、見方ひとつで姿を変える。
そう思うと、
日常の小さな違和感も、
次のステージへのサインに見えてくる。
今日の気づきを、また次の一歩に。
マトリックスの世界は特別ではない。
経営も人生も、同じ構造の上にある。
“現実”は変わらない。
けれど、現実の“見え方”は変えられる。
スプーンを曲げる必要なんてない。
曲げるべきは、いつだって自分の思考のほうだ。
この気づきは、しばらく僕の中で生き続けそうだ。
