地産地消から始まった、地域を知り、人を知り、人と人を結ぶ取り組み。

援むすび山口・19市町地産地消市長リレー

援むすび山口が、山口県内19市町すべての首長にインタビューしたのは、なぜなのか。

最初のきっかけは「地産地消」でした。

山口県には、それぞれの地域に根付いた食文化があり、魅力ある農林水産物があり、それを支える生産者や事業者の皆さんがいます。一方で、担い手不足や生産基盤の維持、販路の確保、中山間地域の問題など、地域によってさまざまな課題もあります。

その地域の魅力や課題、そしてこれからの地域の未来について、市長や町長がどのように考えているのか。

まずは、その声を直接聞いてみたいと思ったのです。


自分たちの地域のリーダーを、どれだけ知っているのだろうか。

取材を重ねる中で、もう一つ大切なことに気づきました。

私たちは、自分たちの市町の首長でさえ、直接会って話を聞く機会はほとんどありません。

ましてや、他の市町の首長が誰で、どんな考え方を持ち、どんな地域を目指しているのか、知らないことも多いと思います。でも、自分たちが暮らしている地域のリーダーが、何を大切にし、どんな未来を目指しているのかを知ることは、とても大切なことではないでしょうか。

行政や政治というと、どこか自分たちの生活とは離れたものに感じるかもしれません。
しかし、農林水産業や地域産業、私たちの暮らしには、行政の政策や取り組みが深く関わっています。

首長の考え方を知ることは、何もその人を支持することではありません。

地域の現状や課題を知り、行政の取り組みに関心を持ち、自分たちの地域の未来について考えることです。
まちづくりとは、まず自分たちの地域に関心を持つことから始まるのではないか。

今回の取材を通じて、そう感じるようになりました。


地産地消は、単に地元のものを買うことではない。

援むすび山口・19市町地産地消市長リレー

私が考える地産地消は、単に地元で生産されたものを地元で消費するということだけではありません。

私たちが毎日食べている米や野菜、肉や魚。

これらを将来にわたって安定して生産し、供給していくためには、生産者の経営が成り立ち、担い手が育ち、流通や販売の仕組みが維持される必要があります。どれだけ素晴らしい農林水産物があっても、それをつくる人がいなくなれば、地域の食文化も産業も続いていきません。だからこそ、地域の中に継続的な需要をつくることが重要なのです。ただし、「山口県産だから買ってください」だけでは、継続的な消費にはつながりません。

美味しいから、品質が良いから、つくっている人に魅力があるから。
「県産だから選ぶ」のではなく、「価値があるから選ばれる」。

その理由をつくり、生産者と事業者を結び、地域の中でお金が循環する仕組みをつくっていきたいと考えています。


「肉まつり」で実感した、結ぶことの難しさと可能性。

今回の活動を考えるうえで、私自身、大きな経験になったのが、援むすび山口で開催した「肉まつり」です。

一つのイベントを実現するだけでも、生産者、組合、出店事業者、会場管理者、そして会場設営や営業に関わる法令上の問題など、実にさまざまな課題がありました。それぞれに立場があり、目的があり、事情があります。一つの問題が解決しても、別の問題が出てくる。

企画を考えることよりも、それを実現するために関係者の理解や協力を得て、さまざまな条件を整えることの方が、はるかに難しいと感じました。

しかし、関係者が同じ目的を共有し、それぞれの役割を理解し、必要な人や組織が結ばれていくと、それまで難しかったことが少しずつ動き始めました。人と人、組織と組織が結ばれることで、一つの組織だけでは実現できなかったことが、実現できるようになる。

この経験は、私にとって非常に大きなものでした。そして、これは地産地消や中山間地域の問題にも共通することだと思います。


行政だけでも、民間だけでも、できないことがある。

地産地消の推進も、中山間地域の振興も、一人の生産者、一つの企業、一つの団体だけで解決できる問題ではありません。行政には、地域全体を見渡し、政策や制度、公共的な支援を通じて地域を支える役割があります。

一方で、私たち民間には、現場の声を聞き、商品を企画し、販売の仕組みを考え、実際に事業を動かしていく役割があります。大切なのは、それぞれが別々に頑張ることではなく、お互いの立場や役割を理解し、協力できるところを見つけていくことだと思います。だからこそ、私たちはまず19市町の首長の皆さんにお話を伺い、それぞれの地域が何を大切にし、どのような課題を抱えているのかを知ることから始めました。

地域のことを知らずに、地域の課題を解決することはできません。そして、行政の考え方や役割を理解せずに、地域全体に関わる取り組みを進めることも難しいと感じています。


地域の魅力は、まだまだ結ばれていない。

36年間、商業デザインや繁盛店づくり、企業ブランディングに携わってきて感じることがあります。それは、どれだけ良い商品や技術、魅力があっても、それだけで選ばれるわけではないということです。

誰に、どのような価値を、どう届けるのか。
そして、その価値を必要とする人や企業と、どう結ぶのか。これは、一つのお店や企業だけでなく、地産地消や地域ブランドづくりにも共通しています。

山口県には、まだ知られていない魅力や可能性がたくさんあります。
しかし、生産者、加工事業者、飲食店、販売事業者などが、それぞれ個別に活動しているだけでは、生まれない価値もあります。

地域に魅力がないのではなく、その魅力が十分に結ばれていないのではないか。

そう考えています。


19市町を知った。これからは19市町を結んでいく。

今回、19市町すべての首長にお話を伺い、最後に村岡知事にもインタビューすることができました。しかし、これで終わりではありません。むしろ、ここからが本当のスタートだと思っています。これからは、19市町を訪ねて得た学びやつながりを活かし、地域の垣根を越えて、生産者と事業者を結んでいきたいと考えています。

例えば、中山間地域の道の駅を拠点に、地域の食材や生産者の魅力を活かした商品を開発する「道の駅弁プロジェクト」。また、ショッピングセンターやスーパーマーケット、飲食店などと生産者を結び、山口県産品がもっと身近に選ばれる販売機会をつくること。地域の魅力を見つけ、伝えるだけでなく、商品やサービスとして形にし、実際の消費につなげる。

その結果、生産者の経営が支えられ、地域に仕事が生まれ、地域の産業が将来にわたって続いていく。

そうした流れを、少しずつでもつくっていきたいと思っています。


地産地消から、まちづくりへ。

援むすび山口・19市町地産地消市長リレー

今回の19市町首長リレーを振り返ると、最初は地産地消について知るための取材でした。

しかし、地域を訪ね、人と出会い、さまざまな話を聞く中で、地産地消だけでなく、行政や政治、地域産業、そしてまちづくりについても考える機会になりました。

自分たちの地域を知ること。
自分たちの地域のリーダーを知ること。
地域の魅力だけでなく、課題にも関心を持つこと。
そして、誰かに任せるだけでなく、自分たちに何ができるのかを考え、行動すること。

まちづくりとは、そうした一人ひとりの関心と行動の積み重ねではないでしょうか。
地産地消は、地域を知る入口でした。地域を知ることは、まちづくりの入口でもありました。

そして、地域の未来をつくるためには、行政も民間も、生産者も事業者も、そして消費者も、それぞれの立場で関わっていくことが大切だと思います。

19市町を回ったのは、19市町を紹介するためだけではありません。19市町を知り、19市町を結び、山口県全体の未来につなげるためです。

援むすび山口は、これからも地域の魅力や課題を見つけ、人と人を結び、具体的な結果につなげていきたいと思っています。

地域の魅力を、地域の未来を支える力に変えていく。

それが、私たち援むすび山口の目指す地産地消であり、まちづくりです。

援むすび山口 編集長
繁盛店・企業・地産地消・地域ブランドプロデューサー